2013/05/05
2013年5月5日(日) くもり
今年3回目の丹沢は高校の友人Yと長女と一緒である。昨年Yとは盆休みに群馬県の白砂山に登ったが途中大雨のため撤退した。私は疲労困憊だったが、Yは疲れた様子もなく、下山してもニコニコしていた。秋はYの再就職で調整がつかず、ようやく今回表尾根挑戦となった。大学生の長女は以前から登ってみたいというので同行することになった。
8:00 秦野駅集合。ゴールデンウイークで大勢の登山客がバスを待っており、奮発してタクシーに乗った。ヤビツ峠経由で富士見橋に到着。すでにかなりの男女が登り始めている。気温は20度ぐらいか。
8:25 我々も登り始める。私のペースが遅く2人とも先に行っては休んでいる。オーバーペースにならないように自分のペースを守る。「お父さん遅いよー 後ろに人が並んでるよ」と言われ後続の人に道を譲る。
9:35 3回ほど道を譲ったころに二の塔に着。2人ともふうふう言っているが汗はかいていない。私はすでに大汗をかいている。2人ともペース配分に気を使いだしたのか少しリズムが出てきたようだ。
表尾根は上り下りが交互にあり、西に向かい塔ノ岳に続く。富士山を左前に眺め、丹沢でも人気が高い。2月に登ったときは雲に邪魔され全く見えなかった。今日も山頂はおおわれているが、いずれ全貌を現わすに違いない。
9:55 今回は3度目の正直と念じているうちに三の塔に到着。
東から陽がさしこみ幾分明るくなった。久々の記念撮影に何故か頬がゆるむ。10:05 出発。 雲はところどころ分厚く覆いかぶさり、富士の山頂は一向に姿を見せてくれない。
11:15緩いアップダウンの後、狭い行者岳山頂に着。
この先の行者岳の下りに10mほどのクサリ場があり、ここが今回一番の難所だ。登山者が多く自然渋滞になっている。上で待っていると、サルが岩山をスルスルと登る様に短パンの若い男性が駆け登ってきた。私の横をすり抜けるとそのまま細い尾根を走って行き見えなくなった。
登山を始めたころ先輩から山では走ってはだめだと注意されていたので、目の当たりにすると唖然となる。中学3年の秋、合宿で西丹沢の菰釣山から山中湖への下りは途中で日没になり、ヘッドランプになった。終電に遅れまいと一時間ほど駆け下りた。湖畔の町明かりがちらちらと見えたときには救われた気分だった。皆何度も転んだが幸い擦り傷程度ですんだ。まるでクロスカントリーのような下山だった。何のことは無い、我々もやむ得ず走っていたのだ。
しかし、今そこですれ違った短パンの若者は、トレラン(トレールランニング)をやっているのだ。短時間にたくさんの山を見たいという贅沢な発想から生まれたらしい。やってみたい気もするが、体力はないし転んでけがをするだろう。
トレイルランナーのあとクサリを登ってきた3人に挨拶をすると今度は我々の下りる番だ。私が先頭で恐る恐るクサリにしがみつきながら下りると、長女はするすると下りてきた。Yもなんてことはないと言わんばかりに下りてきた。最大の難所を二人ともいとも簡単に通過し、心配は杞憂に終わった。今後の丹沢では単独をしなくてすむかもしれない。
12:10 なだらかな登りの後、塔が岳への最後の急斜面をぜいぜい言いながら登り切った。 山頂は南北にやや広い約50~60mのなだらかな丘で70~80人ほどの登山客が休憩している。まさに穏やかな昼飯どきだった。我々も弁当をひろげた。ほど良い疲れと満腹感で次第に無口になる。
西に向くと富士が右下方に山中湖を従え「ちっぽけな人間め、つまらんことにくよくよするな」と堂々とした姿を見せる。心が洗われ、日常のストレスから解放される。この解放感は新鮮で登るたびに強くなっていく。
反対の東側を眺めると登ってきた表尾根、その奥に大山が見える。こちらはなだらかな山々で、丹沢のアットホームなつきあいやすさがある。深い緑に覆われ尾根が息をしているようだ。南には相模湾が広がっているが、白く輝いて海岸線ははっきりしない。そのまま西に眼をやると房総半島も大きくかすみ、手前に箱根の山がこじんまりと座っている。大きく右を向くと北側に尊物山荘が構え、その奥にやや険しい丹沢山と蛭が岳が見える。蛭が岳から北西の檜洞丸に続く丹沢主稜は男性的で、神ノ川乗越で鋭く切れ落ちている。
そして最後にいやがおうでも富士に眼がとまる。やはり山頂には雲がかかっていた。
13:30「さあ、そろそろ下山しようか」
よぎクリニック 内科 泌尿器科
與儀實夫